海水の塩分と塩湖について

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海水浴をしていて海水を誤って飲んでしまった時、とってもしょっぱく不快な思いをしたことがある方はたくさんいるのではないでしょうか。
映画でも海の上で遭難してしまった場合、水が欲しくても飲んではいけない!なんてシーンもよくありますよね。


そもそも海はなぜ塩分を含んでいるのでしょうか。そんなことをふと疑問に思ったので調べてみました。興味がある人はぜひゆっくりしていってくださいね。

 

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・海水はなぜ塩分を含むのか

その理由は主に以下の要素によるものです!

1. 塩分の存在: 海水にはさまざまな塩分が含まれています。主な塩分は塩化ナトリウム(食塩)ですが、他にも硫酸マグネシウムや硫酸カルシウムなどの塩分も含まれています。これらの塩分は、地球上の岩石や土壌から流れ込んだ水によって運ばれ、海に蓄積されています。長い年月をかけてこの塩分の蓄積が海水をしょっぱくしています。

2. 水の循環: 地球上の水は、水循環によって大気→地下水→河川→湖、そして海へと移動します。水循環の過程で地表の水が蒸発し、水蒸気となって大気中に上昇します。その後、冷却されることで水蒸気は凝結され、雨や雪として地上に戻ります。この循環によって、塩分が岩石や土壌から海に運ばれ、海水が塩味を帯びるのです。

3. 海洋生物の活動: 海洋生物も海水の塩分濃度に影響を与えます。海洋生物は海水中の塩分を摂取し、生体内の化学バランスを維持します。さらに、海洋生物の生態系によっても塩分の循環やバランスが影響を受けます。

これらの要素によって海水はしょっぱくなっている様です。ただし、海水の塩分濃度は場所や季節によって異なる場合もあり、一般的には海水の平均的な塩分濃度は約3.5%程度と言われています。



・地球で一番しょっぱい場所

塩分濃度が季節や場所で変化すると言われたら、地球上で一番しょっぱい場所がどこか気になりませんか?

 

その答えは、一般的には閉鎖された海域や塩湖などの塩分濃度が非常に高い場所となります。

いくつかの場所を例に挙げる前に、塩湖ってどんな場所なのかご存知ですか?ウユニ塩湖は映えスポットとしてあまりにも有名ですね。そんな塩湖についてお話しさせてください。
 

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★塩湖ってなに?
塩湖とは水が蒸発して塩分が濃縮された、塩類を含んだ湖のことを指します。一般的な淡水湖とは異なり、塩湖の水は非常に高い塩分濃度を持っているのです。
塩湖は、地球上のさまざまな地域に存在し、これらは地理的な要因や気候条件によって形成されます。主に、降水量が少なく蒸発量が高い乾燥した地域で見られる傾向があります。

塩湖の水は、地下水や河川などの水源が湖に入り、湖で蒸発することによって塩分が濃縮されます。塩分は水が蒸発する過程で残り、塩湖の水はますます濃くなります。これにより、湖の水は淡水湖とは異なり、塩分が豊富で非常にしょっぱいのです。しかし、海と塩湖、どちらがよりしょっぱいのかと聞かれると、海が塩湖よりもしょっぱいです。海水は、平均的な塩分濃度が約3.5%であるため、塩分が比較的豊富に含まれています。海水の塩分の主成分は塩化ナトリウム(食塩)ですが、他のさまざまな塩類も含まれています。
一方、塩湖は地域によって塩分濃度が異なります。一部の塩湖は海水よりも塩分濃度が高い場合もありますが、一般的には海水よりも塩分濃度が低い傾向があります。塩湖の塩分濃度は、地理的な要因や気候条件、水の供給源などによって異なります。

塩湖にはさまざまな種類があり、塩湖より海水の方がしょっぱいと上述しましたが例外である塩湖もあります。それは世界で最も有名な塩湖の一つである死海です。ヨルダン川の流域に位置し、世界で最も塩分濃度が高いとされており、塩湖でありながら海水よりも塩分濃度が高い特異な場所です。死海の塩分濃度は約30%から35%にも達し、非常にしょっぱい水を含んでいます。
他にも有名な塩湖はいくつかあります。

・ウユニ塩湖(ボリビア)
ウユニ塩湖(Salar de Uyuni)は、ボリビアの南西部に位置する世界最大の塩湖ですその面積は約10,582平方キロメートルに及びます。
約4億年前に形成された湖の跡であり、現在では観光名所として有名です。その美しい景観として、特に塩の平原が湖面に反射してできる鏡のような光景は圧巻です。その平原は訪れる人々に幻想的な体験を与え続けています。
また、湖の周辺には火山や温泉、独特な地形など、多様な自然の魅力もあります。ウユニ塩湖は自然の神秘と美しさを楽しむことができる特別な場所として、多くの人々にとって印象的な観光スポットとなっています。

・サリーナス・グランデス(アルゼンチン)
サリーナスグランデス(Salinas Grandes)は、アルゼンチンとチリの国境にまたがる塩田地帯です。アルゼンチンで2番目に大きい塩湖で、壮大な景観と塩の採掘活動で知られています。
ここはアンデス山脈の西側に位置し、標高が高く乾燥した気候条件が特徴です。
塩田の広がる風景は、まるで白い大地が広がっているかの様であり、その景観はとても美しく迫力があります。特に晴れた日には太陽の光が反射し、まばゆい白さが眩しい光景が広がります。
塩の採掘や塩の加工が行われており、地元の経済において重要な産業となっています。また、観光客にも人気のスポットであり、塩の平原での写真撮影や塩の採取体験が楽しめます。

・ショット・エル・ジェリド(チュニジア)
ショットエルジェリド(Chott el-Jerid)は、チュニジア南部に位置する大きな塩湖です。この塩湖はサハラ砂漠の一部であり、周囲は乾燥した砂漠地帯に囲まれています。広大な塩の平原を有し、湖の水面は乾季には乾燥し、白く輝く塩の結晶が広がります。また、白色だけではなく赤や青などの様々な色の天然塩が採取されることもある様です。何よりこの場所を有名にしたのは、映画「スターウォーズ」のロケ地となったことではないでしょうか。ラーズ家(ルーク・スカイウォーカーが育った家)の舞台であるこの塩湖周辺では、キャラバンやオフロードツアーなどのアクティビティも楽しむこともできます。

話が逸れてしまいましたが、下記に地球で最もしょっぱい場所をいくつか紹介します。

 

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1. ドイツのバルト海沿岸: バルト海は一般的には他の海域よりも塩分濃度が低いですが、バルト海の東部に位置するドイツの一部の地域では塩分濃度が高く、比較的しょっぱい海水が流れ込んでいます。

2. 赤道付近の塩湖: 赤道付近にはいくつかの塩湖が存在し、その中でも特にしょっぱいとされるのがウルムチ湖(チャンバル湖)です。ウルムチ湖はカザフスタンとウズベキスタンの国境付近に位置し、塩分濃度が非常に高くなっています。

3. 死海: 死海はヨルダン川の流域にあり、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの国境地帯に広がっています。死海は世界で最も塩分濃度が高い場所の一つとして知られており、海水には非常に高い塩分濃度が含まれています。


これらの場所は、地理的な要素や地下水の流入などによって塩分濃度が高くなり、海水が特にしょっぱくなっています。ただし、海水の塩分濃度は地域や季節によって異なるため、上記の場所以外にも塩分濃度が高い海域や塩湖が存在する可能性は
あります。

・塩分濃度と浮遊力
地球上で最も塩分の濃い場所の一つに挙げた死海ですが、何を連想するでしょうか?筆者は見たことがあるのです、テレビで人々がぷかぷか浮かぶ死海を!!ここからは前々から気になっていた、塩分が濃いとなんで身体が浮くのか?について解説していきたいと思います。少し小難しい話になりますがお付き合いください。

塩分が濃いと浮く現象は、浮力と密度の関係によるものです。浮力は、液体中に浸かっている物体にかかる上向きの力であり、物体が液体中で浮くか沈むかを決定します。
塩分が濃い水(高濃度の塩水)は、純粋な淡水(塩分のない水)よりも密度が高くなります。密度は、物体の質量を体積で割ったものであり、塩分の存在によって水の質量が増加するためです。
物体には浮力と重力が働きますが、物体が液体中で浮くためには、浮力が重力よりも大きくなる必要があります。
塩分が濃い水では、密度が高くなるため、同じ体積の淡水よりも浮力が大きくなります。そのため、塩分が濃い水に浸かる物体は、浮力が重力を上回り、浮き上がることになります。
簡単に言うと塩分のおかげで密度が上がり、浮力が重力に勝つので物体が浮く!塩分濃度が濃いほど浮力が大きくなると言うことですね。

海の塩分濃度3.5%でも少し浮力を感じることができるので、死海の30〜35%の濃度ではかなりの浮力を感じられるのではないでしょうか。
死海にはまだ行ったことはないのですが、カナヅチの筆者がライフジャケットやウェットスーツを着て海に入った時に、沈もうとしても沈めなかったあの感覚を想像してしまいます。一度は行ってみたい場所の一つです!

ちなみに「死海(Dead Sea)」の由来は30〜35%という塩分濃度の中では生き物は生息できないため、その名前が付けられたとされています。

海水がしょっぱいことには、地球上の水循環や地形・物質などが関係していることがわかりました。また、塩湖についてや浮く理由についてなど、読者の皆様に少しでも楽しんでもらえていたらとっても嬉しいです。
 

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