東京都
2023.07.02
私たちの住むこの地球はその表面の実に70%が海に覆われています。
この海から生命が誕生し、その生命体が進化して私たち人間が生まれてきました。この母なる海は一体どの様にして誕生したのか、皆さんは知っていますか?
この疑問を持ち調べていく中で、その謎は45億6700年前の太陽系の誕生から遡ることとなりました。地球の誕生から生命の誕生まで、できるだけ噛み砕いて解説できたらと思っていますので、興味のある方は是非ゆっくりしていってください。
【太陽系・地球の誕生】
今から45億6700万年前、宇宙では二つの銀河系が衝突し星々が次々と誕生するスターバーストが発生します。
地球が位置している太陽を中心とした太陽系もこのスターバーストで誕生したと言われています。
この太陽系の中では引力による衝突が起こり続けており、その衝突で生じた熱を使い物質のかけらたちは徐々に大きくなり微惑星となります。この微惑星も衝突と融合を繰り返し、今ある私たちの住む地球をはじめ、太陽系の惑星たちが形成されていきました。
できたばかりの原始地球は今の地球よりも小さく、常に多くの微惑星や氷惑星が降り注ぎ、融合を繰り返し今の大きさの地球になっていきます。
この頃の地球はまだ大気がなかったので、こうしたものを防ぐ術もなく、地球は常に衝突から生じる熱により岩石が溶け出したマグマの海に覆われていました。
このマグマのことをマグマオーシャンと呼びます。
氷が溶ければ水になるはずですが、このマグマオーシャンの存在が水分を蒸発させ、液体としての水分が留まることを許さなかったのです。しかしこの氷惑星が降り続いたことにより、マグマオーシャンがそれを溶かし水分を蒸発させることにより、長い年月をかけて地球には大気が誕生します。
これを原始大気と呼びます。
また、宇宙そのものが−300度程の超低温であるため、更に長い年月をかけてマグマオーシャンを冷やし、陸地を形成していきます。地球自身の温度が低下していき、原始大気中に含まれていた水蒸気が雨に変わり、長く雨が降り注ぐようになっていきます。
この雨が地球の地表を更に冷やし、地球全体がどんどん冷えることにより、原始大気も冷え、更に大雨が降り注ぐ様になり、これが1000年以上も続いたとされています。この1000年以上続いた大雨が地表に溜まり、原始の海が誕生しました。
【原始の海から現在の海へ】
今からおよそ40億年前、原始海洋ができたことで現在の地球の姿に近づいてきたと思うかもしれませんが、それはまだまだ先のことです。この原始海洋は現在の塩辛い海とは違い、塩酸を含んだ雨が降り注いでいたこともあり非常に強い酸性でした。
この海の成分はマグマからできた陸地に含まれるカリウムやナトリウムが酸性の海を中和していくこととなります。
月を付き従えていたことにより、この頃からすでに潮の満ち引き、波が存在していたため、この波がマグマでできた岩石を削り取り、岩石に含まれていたカリウムやナトリウムが海へと溶け出し、強い酸性の海を中和すると共に塩素と結びつき塩となり、現在の塩辛い海へとなっていくのです。
【太古の地球には酸素がなかった?!】
私たちが生きていくのに必要不可欠な酸素ですが、地球誕生46億年以上と、その長い歴史の中で酸素が発生したのはおよそ27億年前とされています。では一体どの様にして酸素は誕生したのでしょうか。酸素の誕生は海とも深く結びついていくのです。
まだできたばかりの原始地球の大気は水蒸気と二酸化炭素、窒素が大部分を占めていました。しかし、二酸化炭素は水に溶けやすい性質を持っています。
原始海洋ができたことにより、二酸化炭素はやがてその大部分を海の中に溶かしていきました。こうして徐々に原始大気が成分を変化させていく一方で、海の中に光合成をする「シアノバクテリア」という生物が誕生しました。
このシアノバクテリアは光と水と二酸化炭素で光合成を行いその廃棄物として酸素を排出していきます。こうして大量発生したシアノバクテリアが海の中で光合成を行い、発生した酸素が海から大気へ移動していくことで、原始大気の成分は大きく変化していくこととなります。
またこの酸素がオゾン層を作り、地球上の生物を太陽風や有害な紫外線から守る役割を果たしてくれるようになりました。
※太陽風→太陽から噴き出す極めて高熱な電磁波のこと。これにより磁場の乱れや人体への影響がある事が研究でわかっています。
【酸素を必要とする生物の誕生】
これまで地球上には酸素を必要としなかった原核生物が生息していましたが、この大量に発生した酸素を毒としたため、地球上の生物は実質絶滅しかけました。
しかし、生物は身を守るためにその遺伝子を膜で包み込むことで核を有する真核生物へと変化していくのです。ここから酸素を必要とする生物「ミトコンドリアの祖先にあたる細菌」が誕生しました。真核生物には動物や植物・菌類などがあり、私たち人間もこの真核生物に属しています。
地球が誕生してから、大気が変化し海が誕生し、その海から光合成をする生物が誕生し、酸素が生まれ、酸素を必要とする生物が誕生しました。海と大気は我々人間が存在する上で切っても切れない大切な存在であることがわかりましたね!
このミトコンドリアの祖先がどのような歴史をたどり哺乳類ひいては人間へと進化していったかは、また機会があれば他の記事で解説していきたいと思います。
【海洋生物の誕生】
ここからは時を遡り、海洋生物がどの様にして誕生進化していったかを少しみてみましょう。
遡ること38億年前、熱水噴出孔の近くで地球最初の生物(微生物)が誕生したと言われています。
※熱水噴出孔→地熱で温められた水が海底の亀裂から噴出する場所のこと。この熱エネルギーを使い化学反応を起こして物質から生物が誕生したと言われています。
この生物は大気に含まれる酸素の量による幾度かの氷河期を乗り越えおよそ5億4000万年前、「カンブリア紀」と呼ばれる時代に海の中で大いなる進化をとげ、現在の動物と同じような構造の生き物が大量に誕生したとされています。このことは「カンブリア大爆発」と呼ばれています。
なんとこのカンブリア大爆発で、現在地球に存在する動物の祖先が全て誕生したと言われています。なぜカンブリア大爆発が起こったのかは未だはっきりと解明されていませんが、最も有力な説は目を持つ生物が誕生したこととされています。地球上で初めての目を持つ生物は、一度は名前を聞いたことがある「三葉虫」です。
目を持ったことにより、三葉虫は積極的に生物を捕食していき、ここから捕食する側とされる側の戦いが始まったのです。身を守るため硬い殻を持つ様になったり、捕食するために大きな顎を持つ様になったりと様々な進化を遂げていくのです。
【生きた化石】
そして4億4500万年前、初めての魚類も誕生しました。
そんな中でも生きた化石と呼ばれる有名な魚、シーラカンスをみてみましょう!
シーラカンスはおよそ4億年前に誕生したと言われています。
これまでシーラカンスの仲間は100種類以上、化石として見つかっていますが、その名の通り古代からその姿のまま、現在も深海に仲間が生息しています。
シーラカンスは世界中の海域でその化石が発見されていますが、およそ6550万年前にそのほとんどが絶滅しています。全て絶滅したとされていましたが1938年、南アフリカ沖で漁をしていたところ偶然網にかかり、調査をしたところ太古の姿のままで生息していることが明らかになりました。
シーラカンスは様々な種類がおり、その生息海域も浅瀬から深海まで様々でした。しかし、現代発見されているラティメリア・カルムナエ(シーラカンスの学名)は深海に生息する種類のみです。川や浅瀬等で生息していたであろうシーラカンスは化石でのみ発見されているからです。ではなぜ深海で生息していたシーラカンスのみ生き残ることができたのでしょうか。
一説によると深海の環境が影響しているのではないかと言われています。光が届かず、光合成をする生物も少なく酸素の濃度もあまり変わらない深海は、その環境が3億5000万年前よりほとんど変わっていないからではないかと考えられています。それを裏付けるように、シーラカンス以外の生きる化石と呼ばれる幾つかの生物も深海で発見されているのです。
深海に興味を持っていただけた方は深海や海溝についても記事を書いているので、そちらも見ていただけたら嬉しいです。
地球の誕生・生命の誕生等については、日々科学者の方々が研究に研究を重ね、解明されてきたこともたくさんありますが、見解が違ったり、解明できていないことがまだまだたくさんあります。
ここで書いた内容もさまざまな文献等を筆者個人がまとめた個人的な見解になっており、また違った考え方がたくさんあります。
この記事はその中のひとつの考え方として捉えて頂き、母なる海や生命の神秘に思いを馳せ、想像を膨らませてみてください。
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